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PoC(Proof of Concept)の意義や
ビジネスメリットをわかりやすく解説

PoCに必要とされる、斬新な企画やコンサプトの抽象化と具体化を推し進めるためには、専門性をもつプロ集団の支援は欠かせません。
このページでは、PoC(Proof of Concept)の意義や従来のサービス開発との違いや、PoCの進め方・手法について解説しています。

PoCとは

PoC(Proof of Concept:概念実証)は、新規事業検討の中核となるアイデアやコンセプトといった抽象概念を簡易的に具体化した上で、その実現可能性および提供価値や効果、事業性について検証する営みです。
PoCを導入することによって、アイデア/コンセプトの実現性や事業性を早期に見極め、期待した効果が得られると判断できれば、より本格的に投資や体制強化を進めていくことが一般的です。

企画書や設計資料を何枚書いたとしても、それが本当に実現可能で提供価値があるか判断しづらいのですが、簡易的にでもアイデアやコンセプトを具現化した商品やサービスをつくりあげ、それを想定ターゲットに体感してもらえれば、リアリティかつ直感的な感想やコメント・評価を集めることが可能となり、成功確度が圧倒的に高まります。

また、PoCでの成果が悪い際には、決定的な欠陥や方向性の誤りに早期に気づく事が可能となり、不確実性の高い事業、サービス立ち上げにとっては、不可欠なプロセスと言えます。

PoCが注目を浴びている背景、競争環境の変化

GAFAを筆頭に、グローバルトップの企業が業界の垣根を越えてあらゆる市場を席巻、日本国内でも存在感を増してきています。
Amazonは、流通/小売やクラウドビジネス、Googleは広告やマスメディア、AppleとGoogleはスマホ関連ビジネスなどで旧態依然とした企業を駆逐しています。

彼らの強みは、事業やサービスの企画、開発の「スピード」です。彼らは圧倒的な「スピード」でサービス品質や精度を高め、また勝ち目のないサービスでは躊躇なく徹底を繰り返すことで、より洗練されたサービスを伸ばし続けています。
他方、日本国内に目を向けると、いまだ社内の合意形成重視で形式を重んじる企業が多く、全く歯が立たない状況が垣間見えます。

グローバルトップ企業のサービス企画・開発の「スピード」を生み出している要因は何でしょうか?
それは投資体力もさることながら、PoCの考え方が企業全体に浸透していて、社内議論を重ねることより顧客評価や反応を重んじる点にあります。

費用も期間も無駄に浪費する従来のサービス開発

最近では、官民どちらもDXと称して積極的にサービス開発が行われています。
その一方で、予算数億円で数ヶ月以上の期間をかけたサービスが全く使い物にならずに課題があふれ、やり直すには更に倍の期間と費用が必要、といった事象が頻発しています。

コロナ禍でサービス開発された、濃厚接触者を特定する感染者の追跡アプリや保健所が感染者情報を登録して病院と情報連携する仕組みがあまりにも使えないことに落胆した人も多いのではないでしょうか。
当然、新しい取り組みには失敗の可能性はつきもので、その全て否定するのは誤りですが、問題の本質はそれが失敗と気づくまでに要したお金と時間が膨大すぎるという点です。

PoCを導入しておけば、より早期の軌道修正も可能だったはずですが、いわゆるウォーターフォール型のサービス開発が優先的に採用され、失敗が繰り返されています。

ウォーターホール型のサービス開発では、リリース後にはじめて使えない・使いにくいが発覚。最悪の場合は、やってきたことが全て無駄になり、修正すらできなくなります。

ウォーターフォール型の特徴

従来の商品・サービス企画・開発の問題点

  • リリース後にはじめて使いにくいが発覚。やってきたことが全て無駄になり、修正困難
  • いかにつくるかにのみ注力、いかに良いものを作るかの視点がない
  • 結果的に、時間もお金も浪費するだけで、何も得られるものがない

PoCの進め方、アプローチ

PoCを導入するために重要なことは、最初のリリース(αやβリリース)においては「100%の完成度を目指さない」ということです。
αやβリリースの目的は、ユーザから評価を受けその実現性を確かめることであり、それが達成できる最短&最低コストで作成することが重要です。

Webやアプリ上のサービス開発であれば設計書やシステムを作り込む必要は全く無く、画面上で動いたように見える紙芝居があれば充分で、経験のある企画者とデザイナーが関与すれば数日で作成できるはずです。
あるいは、3Dプリンターなどを活用すれば、手に触れる感覚やサイズに気を配るべき商品の試作も可能です。サイクロン掃除機で有名となったドイツのダイソン社が作成した試作品の第一号は、ダンボールで作られたのは有名な話です。

PoCを正しく導入しても、リリース前のユーザ評価が合格点に達しないケースはかなりの割合で発生します。
そういったうまく行かないケースの損失を最小限に抑えて、次のチャレンジにつなげることが重要です。
正式リリースした後では、運用コストや撤退コストが増大するため、その事前段階で躊躇なく、撤退判断が下せるルール作りが不可欠です。
企画当事者は、無理にでもGOしたくなる、あるいは見込みがない商品やサービスをあきらめたくないのが心情となりますが、客観的な評価の枠組みと再チャレンジの機会を均等に与えることで、その失敗を良い意味で次に活かせる仕組み作りがPOCといえます。

PoCの進め方、アプローチ

POCの進め方、活用の意義

  • 段階的にユーザ評価や実現性を確認することで、必要な軌道修正を適格に実施可能
  • 商品やサービス開発時には、見込みが外れることも多くあり、撤退の判断もしやすい
  • 資金や時間を浪費することなく、成功も失敗も資産として蓄積可能

PoCは「開発手法」ではなく、企業全体で推進すべき「経営手法」

PoCをシステム開発手法の一つ(たとえばアジャイル開発)といった位置づけで、解釈している人もいますが、これは大きな間違いです。
PoCを進めるためには、企業の全体戦略、マーケティング、市場/競合分析。そして事業の具体化を行うUI/デザイン、開発、ユーザ評価といった一連の検討を連携して推進、そのための人材確保やルール作りが不可欠です。
「開発手法」としてリリースの頻度を上げただけのPoCでは、本来的な効果を発揮できません。

PoCの始め方、担い手不足を解決するためには

まず何より担い手の不足がPoCの導入を阻みます。
委託先候補となるシステム開発会社やインプリベンダーは、PoCの特徴である要求仕様の変更が繰り返されることになじめず、他方でマーケティング会社は、自社媒体やソリューションに固執する傾向があり、またなぜか施策の効果検証や顧客評価に積極的でない企業がほとんどです。

手前味噌ですが、弊社では、事業戦略やデザイン、マーケティングやサービス開発といったハイブリッドなスキルをもつプロフェッショナルが多数在籍しており、マーケターは顧客視点をもち、エンジニアと対等に技術的な会話が可能で、デザイナーはオリジナリティと顧客視点の間で模索しつつ、エンジニアと具体化のオプションを検討できる人材がチームとなって取り組んでいます。

またPoCの導入には、現場経験の豊富さが不可欠です。
PoCの導入が会社全体に行き渡っている企業ならともかく、これからPoCを組織的に導入していこうとする企業であれば、まずは経験のある人材とチームを組成して、ノウハウや経験を共有して組織的に実行できるようにする必要があります。
この際、自社リソースのみでは限界があり、他社リソースの活用も視野に入れた体制作りが効率的であると考えます。

お問い合わせからプロジェクト開始までの流れ

プロジェクト開始までの流れ
  • 貴社のご事情やご意向にあわせて、最適なプロジェクトを設計、ご提案します。
  • ご契約までのご提案資料作成では、費用は一切かかりません。
  • 数ヶ月単位での契約を基本としており、必要な時に必要なだけといったご契約が可能です。

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長澤友宏

長澤 友宏
株式会社オートノミースペース 代表

ITや先端技術を駆使した新規事業の企画、開発ならびにマーケティング、アライアンスのコンサルティングを様々な業種業界向けに提供。POCにはいち早く着目、ITと経営の両面のコンサルスキルを活かして、経営/企画部門とIT部門の共同プロジェクト化を推進、幅広く実績をあげてきています。