P&G ジェルボール誤飲喚起 マーケティングの盲点

2014.08.17

カテゴリ:マーケティング

P&Gが、2014年4月から新発売を開始したジェルボール
粉末でもなく液体でもない新形状のジェルボール型洗剤で、透明フィルムに洗濯一回分のジェル状洗剤が密封されたこれまでにない斬新な洗剤となっている。また機能的な優位性も備えており、水溶性の透明フィルムに洗剤を密閉することで、含水率を下げ洗剤成分を超濃縮することに成功、これにより有効洗浄成分を高濃度でしかも最適なバランスで配合することが可能になり、一粒で高い洗浄力を実現ししているとのこと。
また、一粒を指でつまんで洗濯機に入れるだけの簡便性により、形状、性能、使用方法のすべてにおいて、洗濯洗剤の新時代を担う「第3の洗剤」が誕生したとアピールした。

ただこのジェルボール、発売直後にある問題に直面している。それは、小さい子供による「誤飲事故」である。朝日新聞の記事によると、販売開始後3ヶ月間で、日本中毒情報センターに24件の事故情報が寄せられたそうで、P&Gもこれを意識してかCMで誤飲防止のメッセージを流し始めている。確かに、形状やパッケージングは斬新でそれが魅力に感じる一方で、ぱっと見、カラフルなジェル状のゼリーにも見えることから子供の誤飲を誘発する結果に繋がった。この商品、企画・開発される過程では当然、入念なマーケティング調査が行われていると思われるが、あくまで大人目線で付加価値をどうつけるかに目がいき、子供に対する影響という観点では盲点だったのではと思われる。
今後、注意喚起の徹底で誤飲事故が減少していけば事はおさまりそうだが、事故が継続するようであればより抜本的な対策を講じるかあるいは販売中止も余儀なくされる非常に大きな問題である。
この問題はマーケティングにたずさわる者にとっては決して他人事ではなく、新商品開発時のリスクファクターとして見逃してはならない要素になりそうだ。

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