インドネシア、巨大テーマパークを建設、24年開業予定
インドネシアの首都ジャカルタ郊外で東南アジア最大級のテーマパークの建設が進んでいる。ディズニーランドとユニバーサルスタジオを組み合わせたような巨大施設を想定し、2024年にも開業予定。周辺には外国IT企業も誘致し、一大スマートシティをめざす考えだ。
携帯アプリ1つで特区内の生活を完結できるスマートシティをめざす
一連の開発を手がけているのはインドネシアの新興財閥でメディア最大手のMNCグループ。ジャカルタから車で1時間強の場所にある西ジャワ州の「リド地区」で、東京ドーム約640個分の3000ヘクタールの広大な土地の開発を予定する。
開発の目玉は47ヘクタールのテーマパーク「MNCパーク」
現在2000ヘクタールの土地を確保し、第1段階の計画を進めている。地区は海抜600メートル地点にあり、平均気温は22~25度と、ジャカルタほどの暑さを感じない。
開発の目玉は47ヘクタールのテーマパーク「MNCパーク」だ。東京ディズニーリゾートのようにランドマークになる城や池などに加え、ジェットコースターをはじめ20近くのアトラクションを計画している。隣接する土地、21ヘクタールには映画の撮影スタジオも建設する。一部にユニバーサルスタジオのような体験型施設もつくる予定だ。
自社アニメのキャラクターの使用を検討
MNCグループによると、インドネシアで国際的なテーマパークが開業するのは初めて。映画スタジオと合わせた規模は、東南アジア最大級になるという。
同グループは4つのテレビ局を保有し、国内のプライムタイム(午後6時~午後11時)の占有率は5割を超える。コンテンツ作成に定評があり、テーマパークで自社アニメのキャラクターなどの使用を検討中である。
さらに話題を集めているのが同時に建設を進めているゴルフ場である。トランプ前米大統領の家族が経営するトランプ・オーガニゼーションと協力して「トランプ」の名を冠し22年末にも開業予定。トランプ氏と安倍晋三元首相のゴルフ会談にも同伴したプロゴルファーのアーニー・エルス氏がデザインを手がけ、米ジョージア州から芝を輸入した本格コースで、米プロゴルフの競技団体PGAツアーでの試合開催をめざす考え。
第1段階完成予定は2027年。総事業費は20億ドル
近くには6つ星ホテルと高級居住棟も建設している。テーマパークやゴルフ場、ホテルなど第1段階の計画がすべて完成するのは27年の予定で、総事業費は20億ドル。外国人観光客を含め年間1000万人の集客を想定する。
リド地区の経済特区への指定。税制などの優遇措置を適用。
2月には政府からリド地区の経済特区への指定を受け、税制などの優遇措置を適用できるようになった。これを弾みに外国企業の投資拡大に向け働きかけを強めている。米シリコンバレーのようなIT企業の集積に向けデータセンターの開設などで米IT大手と交渉しているという。周辺に大学や病院も設置したい構えだ。
周辺住民の理解がカギ
同グループは6月にネット専業銀行を開業するなど傘下事業のデジタル化と統合を進め、携帯電話の自社アプリ1つで特区内の生活を完結できるスマートシティをめざす。ただ、残る土地の確保で一部周辺住民は譲渡に反対しており、「特区内で雇用を確保するなどして理解を得たい」と説明している。