統計データ事例
国内EC市場規模、2018年度に20兆円超 3割がスマホ経由
2014.10.06
カテゴリ:統計データ
野村総合研究所によると、日本国内の電子商取引(EC)市場は継続的に成長が見込まれるようだ。2012年度では10兆円を少し下回る程度(経産省統計)だが、2018年度には20兆円を超えるとの見通し。また、現在1割程度とされるスマホ経由の取引は、2018年度には3割を超えるとの予測。実店舗/リアル市場の縮小が進む一方でEC市場は今後もさらに強い成長を見せるとの見方だ。
ただ、EC市場の成長は全てのEC事業社にとってその恩恵が平等あるわけではない。私どものコンサルティング現場でも、実店舗/リアル市場が縮小の一方で、新たにEC市場に参入する大手企業はずいぶん増えているが、自らの事業縮小をおぎなう程度の売上げや利益を上げている企業は少ない。
というのも、EC市場でのAmazonと楽天の2社が非常に大きくシェアを拡大をつづけており、2012年度では楽天が21.8%、Amazonが13.6%、2社合計シェアで35.3%に達している。(小売・サービス業のEC取り扱い高で総務省統計と各社発表資料より算出)つまり、楽天とAmazonの2社で全体の3分の1以上を占めるという計算になる。
くわえて、2社の合計シャアは過去数年で増加傾向で、2009年には20.5%、2010年には28.0%、2011年には30.1%という推移となっており、両者の勢いから2013年度以降も合計シェア拡大の可能性が高い。
(これは私どもの見解であるが)ここ数年の傾向を見ているとおそらくあと数年でAmazonは楽天を国内EC取扱高で逆転する可能性が高い。この予測が正しいと、2018年に現在の2倍の20兆円になったEC市場は、その多くがAmazonに掌握されている可能性も高く。全産業がEC市場に吸い取られる構図もある中、日本企業にとっては一概にEC市場拡大を歓迎ばかりはしていられない。EC市場が一極集中するのを防ぐためにも、斬新なアイディアとビジネスモデルを持った日本企業が多く世の中に排出され、切磋琢磨し、Amazonを追いかけなければならない。